太陽光発電所におけるバルブの自動化

発電所におけるトラフ式太陽熱発電

発電所におけるトラフ式太陽熱発電

Sector : 発電

カテゴリー : 電動アクチュエータ, 各種サービス, 制御ネットワーク

製品 : IQ - Standard, Retrofit, Modbus, Pakscan

概要

スペインは、現在、世界最大の太陽熱発電国です。スペインの太陽熱発電所は、発電量を最大化するため、溶融塩電池を使用したパラボリックトラフ型太陽熱発電システムを使用しています。パラボリックトラフ方式の発電システムでは、集熱管(デュワー管)に沿って放物面鏡が配置されています。鏡によって日光が反射し、集熱管に集められます。集められた日光は、集熱管を流れる熱伝達オイルによって吸収されます。

ソリューション

ロトルクパックスキャン2線式デジタル制御システムを搭載したIQインテリジェント電動アクチュエータは、このようなプラントで幅広く使用されています。ロトルクは、太陽熱発電業界との連携を密にし、IQアクチュエータと制御システムをプラントの設計に組み込みました。ロトルクのパックスキャンP3制御システムを使用する決め手となったのは、長距離通信が可能であること及び低コストであるということでした。パックスキャンP3マスターステーションは、通信性能を損なうことなく、1台で最大20Kmの長距離通信を行うことが可能であり、また、リピータも必要としないため、太陽熱発電所のような広大な環境には最適なのです。リピータには別途電源が必要となりますので、データ転送速度が低下したり、SPOF(Single Point Of Failure:単一障害点)が発生する恐れがあります。また、リピータの故障により、下流のフィールド機器との通信が損失します。ロトルクのバルブアクチュエータは、鏡周辺のオイルを伝達するHTF(熱伝達流体)パイプラインや、塩貯蔵配管及び発電所の配管に設置されています。使用されているアクチュエータの殆どがIQ(マルチターン)やIQT(90°回転用)ですが、調整弁には、4-20mAの制御信号で作動するIQMモジュレーティング用アクチュエータが使用されています。

結果

IQ3アクチュエータは、電気部のカバーを取り外すことなくリミットやトルクの設定を行うことができますので、非常に効率的に試運転調整を完了することができ、従来型アクチュエータの試運転調整と比較して大幅に時間とコストを削減することが可能です。

また、ロトルクの“非貫通な”データ技術により、アクチュエータと携帯式設定器との双方向通信が可能となりました。この設定器を使用して、アクチュエータの設定データを取得し、そのデータを他のアクチュエータに転送することができますので、多数のバルブにほぼ同じ設定を行う際は、大幅な時間短縮となるでしょう。なお、IQの設定器には、最大10の構成ファイルと4つのデータロガーファイルをダウンロード・保存することができます。試運転調整は、電源のオンオフにかかわらず実行することができ、また、湿気や粉塵による汚染から完全に保護された状態で実行することができますので、過酷な環境条件でも長期的に使用することが可能です。

IQアクチュエータの全てに、動作の履歴データやバルブのトルク分布履歴を保存するためのデータロガーが搭載されています。アクチュエータからこのデータをダウンロードし、IQ-Insightというソフトを起動したパソコンで解析することができますので、動作上の問題やバルブの性能を即座に評価することが可能です。そのため、アセットマネジメント(資産管理)計画を効率的に実行し、突発的なプラントの中断をなくすことができるのです。

IQアクチュエータの”軽量だが頑強な設計”により、長期に渡って、プラントを効率的に作動させることができます。また、IQアクチュエータの大型液晶ディスプレイには、リアルタイムのバルブの位置と、バルブや制御及びアラームに関する文章メッセージが多言語で表示されます。さらに、アクチュエータに搭載されたデータロガーは、バルブのトルクの分布履歴とこのデータを記録し、バルブやプラントの作動状態に関する貴重な情報を与えてくれます。

IQの場合、周波数、電圧及び温度の変化に関係なく、正確で繰返し性の高いトルク測定を行うことが可能です。一方、特許取得のIQ非接触式位置測定(可動部品は1つしか使用していない)は出力の回転を電子信号に変換し、その信号が、安全な不揮発性メモリに保存された位置リミットと比較されるのです。その他のアクチュエータとは異なり、IQでは、スティックスリップ現象は発生しません。アクチュエータの移動方向を逆転させても、自動タイマー回路が、バルブのステムや減速機を過度に摩耗させてしまう恐れのある衝撃荷重を回避します。また、使用頻度の低いバルブを正確に作動させるためにロストモーションハンマーブローが組み込まれており、締め付けられたバルブを押しのけます。

さらに、バルブが着座位置から最初の5%を移動する間は、トルクスイッチをバイパスすることができます。

このようにトルクを追加してもなおバルブを移動させることができない場合、IQは、バルブが詰まっていると認識し、モータへの損傷を防止するため、あるいはこれ以上の損傷を防ぐため、動作を停止させます。また、緊急時の手動操作用のハンドホイールはモータの駆動部から独立していますので、このハンドホイールにより、正確に手動操作を行うことが可能です。このハンドホイールには安全に操作するための手動/自動切り替えクラッチ(ロック可能)があり、モータが起動中の状態でも、アクチュエータの内部部品を傷つけることなく手動操作に切り替えることが可能なのです。

 

パックスキャン・デジタル2線式制御

アクチュエータの制御及び監視、はパックスキャンP3マスターステーションが監視するループによって行われています。P3マスターステーションにインストールされたウェブサーバーのおかげで、メイン制御室のオペレータは、プラントのメイン制御が故障したとしても、アクチュエータの状況を明確に把握することができます。

パックスキャンは、標準で、2重のホスト通信にも対応しており、ループ上の他のユニットとの通信を妨げることなく、フィールドネットワーク側の故障箇所を遮断することができます。またパックスキャンネットワークでは、バルブから制御ルームに至るまでのあらゆる箇所が冗長化されているため、故障発生時でも、バルブの位置や状態などの重要情報は失われることなく、入手できます。

制御やデータのやり取りにはモドバスTCPプロトロルを使用します。また、パックスキャンのウェブページ経由でマスターステーションや現場の制御ユニットのあらゆるデータにほぼ瞬時にアクセスすることができます。もちろん、この「あらゆるデータ」にはフィールド機器の診断情報も含まれており、メンテナンスチームは、現場ではなく、オフィスにいながら故障を発見することが可能なのです。また、通知設定を行えば、アラームの状態が自動的にEメールで通知されるため、メンテナンスチームは即座にマスターステーションの不具合を把握することができます。

サイトサービスとレトロフィット

ロトルクは、太陽熱発電所の新規プロジェクトだけでなく、稼動中のプラントのバージョンアップ及び更新にも関わってきました。

例えば、ある現場2箇所では、熱伝達流体の配管に取り付けたバルブの自動化が必要となり、ロトルクが特別にIQTFマルチターンアクチュエータのリニア式モデルを開発・提供しました。各バルブのストロークは30mmで、このストロークの1% (最小値)しか動かさない、つまりそれぞれ0.3mmしか移動させないという条件でした。

この条件を満たすため、最大の分解能と精度が得られるよう、IQTFのリニア式モデルを比較的低速で作動させました。なお、位置の監視・制御信号はパックスキャンP3システムから出されています。

ロトルクは、3インチのグローブ弁を自動化し、HTF(熱伝達流体)の温度を遠隔制御するため、各現場に168台のアクチュエータと4台のパックスキャンP3マスターステーションを取り付けました。このレトロフィットプロジェクトは、ロトルクサイトサービスが担当しました。なお、ロトルクサイトサービスとは、ロトルクグループの1組織であり、レトロフィット、メンテナンス、修理、担当範囲外の作業、プラントの生涯プログラム等、アクチュエータ関係のサービスを提供しています。

ケーススタディのダウンロードはこちらから。