タンクターミナルにおける、緊急遮断弁の電動ソリューションの有効性が証明される

  • 部門: 石油及びガス - 下流
  • カテゴリー: 電動アクチュエータ , フルードパワーアクチュエータ 
  • 製品: IQ - Standard, Skilmatic SI3

概要

2005年のバンスフィールド油槽所爆発火災のような災害を防止するため、HES Internationalは、自社が所有するロッテルダムのBotlekタンクターミナルの現行の安全手順を更に改善したいと考えていらっしゃいました。このような要件を満たすため、同社は、IQインテリジェント電動アクチュエータ等のロトルク製品を選定されました。


概要

バンスフィールド油槽所の火災(2005年)以降、このような悲惨な事故の再発防止のため、多くの取り組みがなされました。

COMAH(Control Of Major Accident Hazards 重大事故災害管理)規則に従い、石油業界は、タンク貯蔵設備の安全性と環境保護性能を強化するため、安全対策を講じました。Buncefield Standards Task Groupの推奨に従い、主な安全対策として、緊急遮断(ESD)用のフェイルセーフ機能を搭載した遠隔操作式遮断弁(ROSoV)を設置しました。


チャレンジ

ROSoVに繋がっているバルブの大半は、燃料貯蔵タンクの入口及び出口にあり、起こり得る緊急事態が発生した場合は個々のタンクを遮断するように設計されています。一般的なタンクファームの駆動技術は電動であり、このような現場に代表される非常に広大な環境に適しています。このような環境では、空気式リングメインユニットを設置するには多額の費用が掛かりますが、基本的に、制御・表示用の電源を確保することは可能です。そのため。ESDアクチュエータを電力で作動させることは、経済的且つ現実的であると言えます。

ロッテルダムにあるBotlekタンクターミナル(BTT)はバンスフィールド油槽所の火災後に設計・建設されたタンクターミナルであり、日常稼働及び安全関連の用途に係るあらゆるバルブの駆動動作に電動ソリューションを採用した画期的な一例となりました。


ソリューション

BTTは34基の貯蔵タンクを保有しており、貯蔵量は合計200,000㎡、そのうちの130,000㎡はクリーン燃料に、残りは食用油やバイオディーゼルに充当されています。同ターミナルは2隻の航海船と2隻の荷船を同時に接岸させることが可能な420mの突堤を含む深海バースを有しており、24時間稼働しています。

同ターミナルでは、ロトルクの電動バルブ駆動技術を、自動フロー制御や、輸入、輸出、さらには様々な液体バルク品の貯蔵に係る安全関連業務に活用しています。現場の至るところで、液体の日常的な流れを制御するバルブを操作するため、250台を超えるIQインテリジェント電動アクチュエータ(マルチターン、パートターン)が設置されました。それに加えて、フェイルセーフESD機能(潜在的な事故や流出から保護する機能)を有するバルブの特定の箇所には55台のスキルマチックSI自立型アクチュエータが設置されました。このスキルマチックアクチュエータは、燃料貯蔵タンクの入口・出口や、船舶及びトラックのローディングベイに設置されており、起こり得る緊急事態が発生した場合は、個々のタンクや区域を遮断します。同アクチュエータは、専用の液面センサーやフローセンサー及びESDロジックソルバーにより作動しBTTの安全計装機能(SIF)を実行する安全計装システム(SIS)においては、重要なコンポーネントです。

ESD用途で要求される迅速なフェイルセーフ動作を実現するには、電動アクチュエータの特殊設計が必要です。経験が、電油式アクチュエータを活用することにより迅速なフェイルセーフ動作が可能であることを物語っていました。電油式アクチュエータには、シンプルであるが故に非常に信頼性の高い、バルブのフェイルセーフ動作用の機械式スプリングが採用されています。このように、バルブのフェイルセーフ動作は機械式スプリングによって実現しますが、その一方で、作動油による精密且つ迅速なバルブの逆方向作動は、内部の電動ポンプにより実現します。このような設計であるため、信頼性の高いフェイルセーフ動作と最新の電動駆動技術とを組み合わせて、高レベルのアセットマネジメント(正確な制御・監視・アラーム通知、作動データの記録、診断など)を容易に実行することが可能です。また、プラント制御システム全体を簡素化すること(全電動ソリューションにより容易に実行可能)により、資本コストやメンテナンスコストを下げることが可能です。

BTTに設置したロトルクアクチュエータの筐体は全てATEX防爆認証を取得、且つダブルシール構造の防水仕様(IP68)であり、過酷環境やむき出しの状態で設置することを考慮して設計されています。同アクチュエータは、完全冗長仕様のロトルクパックスキャンデジタルバスループネットワーク上で制御・監視されており、3台のパックスキャンP3マスターステーションがこのネットワークと同現場の中央SCADAシステムとを中継しています。BTTに設置した全てのアクチュエータが、IQの非貫通設定・試運転調整及びデータ通信の技術を共有しています。付属の設定器は、携帯式且つ本質的安全使用であり、この設定器を操作して表示されたメニューから選択しますので、安全且つ迅速に、本体のカバーを取り外すことなく、試運転調整を完了することが可能です。また、同設定器を用いて、アクチュエータの構成ファイルやデータロガーのファイルを現場からオフィスに転送し、診断・解析を行ったり、保存することも可能です。このデータとIQ Insight2 ソフト(PC専用ソフト)とを組み合わせて活用することで、潜在的なバルブの摩耗を特定したり、予測保守が容易になりますので、プラントの有用性を最大限まで高めるための手助けとなります。

IQインテリジェントアクチュエータの場合は、あらゆる動作をその詳細(バルブの作動回数、アラーム、無応答、バルブのトルクデータ、不正操作の回数、その他多数のイベントなど)と共に記録することが可能であるため、この技術を活かして、膨大な量のデータを取得することができます。効率的なアセットマネジメントには、これらの情報を客観的に解析し、個々の現場の個別の要件において重要な分野を特定することが必要不可欠です。

例えば、様々なスタイルのバルブが多数存在し、その各々が独自のトルク要求曲線を描くものとします。新たに設置し、校正を行ったバルブアクチュエータから取得したトルク要求曲線は、今後得られる曲線を評価するための基準点となります。バルブは年月が経過すると、内的・外的要因により開・閉操作が難しくなります。未潤滑のステム上昇ゲート弁のねじ式ステムでは、このようなことは、起こり得ることです。このような問題を特定することで、ソフトを使用して、プラントを中断することなく、点検や保守を計画し、アセットマネジメント全般の改善を行うことが可能です。

スキルマチックSIアクチュエータにIQの技術を組み込むことで、安全システムのハードウェアESD入力と組み合わせた高度な制御・監視が可能となります。内部油圧、開度、リミット、制御オプション、アラーム、表示機能等の設定にアクセスして、調整を行うことも可能です。アクチュエータの状態、制御、アラームのアイコンはライト付きのLCDディスプレイから確認することが可能であり、また、このディスプレイから圧力、診断情報、ヘルプ画面等のリアルタイムの情報を入手することも可能です。

スキルマチック制御モジュールは、同現場のパックスキャンデジタルネットワーク制御システムに対応していることも含め、厳しい作動要件を満たすことを可能にするものです。 同アクチュエータは、SIL2及びSIL3までの安全機能を実行する安全システムでの使用に関して、IEC61508-2:2010の要求事項を満たしています(認証取得)。また、部分ストローク機能も備えているため、プロセスを中断することなく、バルブの動作試験を行うことが可能です。この機能は、セーフティクリティカルなバルブの、動作試験時のプロセスの中断を最小限に 押さえる上で、特に重要です。油圧や動作も含め、アクチュエータ内の全ての重要コンポーネントの動作試験が行われ、必要時の遮断に使用可能であることを確認します。 なお、この動作試験は、遠隔からも、設定器を使用して現場で実施することも可能です。ストローク時間ごとの部分ストロークの位置が測定され、試運転調整時の初回データ(ストローク時間に対する位置)と比較されます。合格・不合格のいずれかが表示され、有効にしている場合は、アラームが発報します。お客様ごとのアラーム及び状態のニーズに合わせて、若しくは一括アラームとして、3つのアラームを設定することが可能ですが、このアラームはそのうちの1つです。また、電源やハードウェアのエラーを監視するためのモニターリレーも内蔵しています。

電油式アクチュエータを利用したバルブのフェイルセーフ動作
アクチュエータが全閉状態から開動作を実行するように命令を受けると、そのブリード形電磁弁が励磁します。電動ベーンポンプは、バイパス電磁弁の励磁が遅れた結果、負荷がかかっていない状態で始動します。 バイパス電磁弁が励磁すると、システムの圧力がスプリング対向ピストンに逆らって作用し、アクチュエータを開方向に駆動させます。アクチュエータが停止命令を受けるか、若しくは全開位置に達すると、バイパス電磁弁が消磁し、新たな命令が与えられない場合は、事前に設定しておいた時間が経過すると、それに続いて、電動ベーンポンプも消磁します。アクチュエータの位置を保持するため、ブリード形電磁弁は励磁したままであり、システムの圧力も維持されます。

アクチュエータが閉作動命令を受けるか、若しくはESD信号を受信すると、バイパス電磁弁、ブリード形電磁弁及び電動ベーンポンプが消磁またはオフになります。


詳細情報

顧客名:HES International(オランダ)

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