Valve actuation and control in the modern refinery

ジャムナガル製油所におけるIQアクチュエータ多数設置個所

ジャムナガル製油所におけるIQアクチュエータ多数設置個所

  • 部門: 石油及びガス - 下流
  • カテゴリー: 電動アクチュエータ , フルードパワーアクチュエータ , 制御ネットワーク 
  • 製品: Pakscan, IQ Pro Standard

概要

ジャムナガル製油所は世界最大の製油所です。ロトルクは、元(拡張前)の製油所の建設中に、数千台のアクチュエータを設置しました。それ以降、同製油所は更に拡張され、ロトルクも製品やサービスを追加で提供しました。ロトルクアクチュエータは、同製油所の正確な稼働に必要不可欠です。


概要

インドのジャムナガルにあるリライアンス社の製油所は、単一施設からなる世界最大の製油所の1つであり、同製油所の事実上全てのバルブが、ロトルクアクチュエータによって電動化されています。元(拡張前)の製油所の建設中に(タンクファームとパワーステーションの建設は1990年代後期)、約3000台のIQインテリジェントバルブアクチュエータと、(50の個別のマスターステーション+バスループネットワークから成る)パックスキャン2E 2線式デジタル制御パッケージを設置しました。これにより、同製油所は、世界最大のパックスキャン設置現場となりました。


チャレンジ

リライアンス社のジャムナガル製油所拡張プロジェクトでは、1800台のIQアクチュエータと37台の最新型パックスキャンP3マスターステーションとが設置され、2008年に同プロジェクトは完了しました。ロトルクは初期の段階からリライアンス社の同プロジェクトに携わっていました。IQインテリジェントアクチュエータの特長とパックスキャンの技術は、とりわけ初代製油所の計装設計者にとって魅力的に映りました。また、同拡張プロジェクトでロトルクを選定するにあたり、アクチュエータやパックスキャンの制御機能によって同製油所の稼働及び保守がどれくらい向上するかを慎重に考慮する必要がありました。


ソリューション

1997年当時の建設の初期段階で、ロトルクは、電動アクチュエータの単一プロバイダーに選定されました。ロトルクは、世界の石油化学業界で既に定評のあるアクチュエータに、非貫通且つ無線での設定、試運転調整、データ転送技術を搭載した唯一のアクチュエータメーカーでした。IQインテリジェントアクチュエータは、1993年の発売当時、携帯式設定器との赤外線通信により非貫通のデータ通信を実現した先駆者でした。IQは、1997年までには、ロトルクの全世界での電動アクチュエータ販売台数の大半を占める、フラグシップ製品となりました。

IQは、電気部のカバーを取り外して、ストローク終端のスイッチやトルク設定を調整しなくとも、試運転調整が可能であるため、試運転調整プロセスをより効率的に完了することができます。また、内部の電気部品は、湿気や埃による品質低下のリスクから永久的に守られため、インド北西海岸のような厳しい環境状況でも長期的に信頼性を確保します。

パックスキャンについては、ロトルクは既に長期実績を積んでいます。初代のパックスキャン2線式制御システムは1986年に発売されましたが、リライアンス社から受注したパックスキャン2Eは、その3代目であり、生産に5年を要しました。そのため、パックスキャン2Eは、市場に出回っている他のシステムとは比較にならない多種多様なパラメータリストを備えています。

また、リライアンス社は、パックスキャンによってバルブアクチュエータに特化した設計のデジタル制御システムが実現すること、パックスキャンが他の設計では得られないアクチュエータ視点の特長を備えていることを認識しました。例えば、リピーターなしで最長20Kmの長距離通信が可能なフォールトトレラントなフィールドネットワークに、最大240台のアクチュエータを組み込むことが可能であることは、製油所やタンクファームのような広大な環境では、信頼性及び経済的な面から考慮すべき重要な長所です。リピータには、別途、電源が必要であるため、データ送信速度が低下したり、単一障害点が発生する恐れがあります。勿論、リピーターが故障すると、下流の全フィールドユニットとの通信が喪失することになります。

パックスキャンの場合は、標準で、2本のホスト通信路が用意されており、現場で何らかの故障が発生した場合は、ループ上の他のユニットとの通信を妨げることなく、故障箇所を遮断することが可能です。実際、パックスキャンによって、ネットワーク内に組み込まれたバルブから制御ルームまでの全エリアが冗長化されるため、ホストDCS(分散制御システム)にとって重要なバルブの開度、ステータス(状況)、状態に関する情報は、可能な限り安全且つ入手可能な状態に保たれます。

パックスキャンは、1997年までには既に、全ての主要DCSベンダー(Honeywell、Allen Bradley、ABB、横河、Foxboro等)との相互運用性を達成しており、このために、リライアンス社から更なる信頼を獲得しています。パックスキャンには、Foxboroが使用しているのと同じモドバス通信プロトコルを採用しています。なお、Foxboroのインテリジェント・オートメーション(IA)システムは、後に同製油所に導入されることとなります。

リライアンス社のジャムナガル製油所は、目標通り2000年に、年間生産量3300万トンを誇る世界最大の草の根製油所として、操業を開始しました。

製油所拡張プロジェクトのための新規注文

初代ジャムナガル製油所のコミッショニングから間もなくして、その隣に2番目の草の根製油所が建設されましたが、この短い期間のうちに、ロトルクは、新設の製油所で使用する新世代IQ及びパックスキャン2線式制御システムをリリースしました。アセットマネジメント水準の向上とプラントの保守の削減を促進するため、両方のケースで、設備の機能と操作性の改善が行われました。

 IQPro非貫通インテリジェントシリーズには、ボール弁、バタフライ弁、プラグ弁の電動化に小型化ソリューションを提供するIQTダイレクトドライブ90度回転用モデルも含まれています。全てのIQProアクチュエータに、作動データの履歴やバルブのトルクデータを記録するためのデータロガーが搭載されています。このようなデータをアクチュエータから抽出して、IQ-Insight(PC専用ソフト)を起動したPCで解析を行い、稼働上の問題やバルブの性能を評価することが可能です。効果的なアセットマネジメントにより、予期せぬプラントの中断を極限まで減らすことが可能なのです。

通信の改善
IQProがリリースされて、アクチュエータと携帯式設定器との双方向通信が可能になったことにより、ロトルクの非貫通赤外線通信技術も更に発展しました。同設定器を用いて、アクチュエータの構成データを取得し、他のアクチュエータに再送信することが可能なため、多くのバルブにほぼ同じ試運転調整設定を適用する必要がある場合、それに要する膨大な時間を節約することが可能です。IQProの設定器には、最大で10件の構成ファイルと4件のデータロガーファイルを高速(アクチュエータ - 設定器間の通信速度は以前の10倍)でダウンロードの上、保存することが可能です。

大幅に向上した通信機能は、ロトルクの2線式制御システムであるパックスキャンP3の特長の1つです。大部分のIQ及びIQTアクチュエータは設置後、再度Foxboroのインテリジェントオートメーションに(IA)ホストシステムに接続されますが、これらアクチュエータを監視・制御するために、37台のパックスキャンP3マスターステーションを受注しました。

パックスキャンP3では、イーサネット接続、ビルトインセキュアwebサーバー、時刻同期、ホストからのメッセージのデータロギング、フィールドユニットのコマンド、ステータスの変化、アラームの状態のEメール通知等、上流の情報が大幅に改善されています。マスターステーションのホスト通信が強化され、シリアルポート2口、イーサネットホストポート2口、追加のイーサネット構成ポート1口を内蔵しています。イーサネットを利用して、最大10のホストとマスターステーションとの同時通信が可能です。

モドバスTCPプロトコルが加わってイーサネット通信が容易になりました。また、ウェブブラウザから標準のウェブページにアクセスし、ほぼ瞬時に、マスターステーションやフィールド制御ユニットからのあらゆる情報を入手することも可能となりました。現場診断情報なども入手可能であるため、現場に足を運ばなくても、オフィスのデスクから故障を確認することが可能となりました。さらに、アラームの状態を自動通知(Eメール通知)するように設定することで、マスターステーションのトラブルを即座に把握することも可能です。

コマンドの発信元情報も含め、ホストからのメッセージが、日時、マスターステーションの応答状況と共に記録されるため、イベントの詳細な履歴を確認することが可能です(ウェブブラウザまたはマスターステーション自体のHMIから確認が可能)。このような機能は全て、高レベルのセキュリティで保護されているため、ホストポートやIPソースアドレスにより本システムへのアクセスを制限することが可能です。

パックスキャンP3マスターステーションでは、グラフィカルカラーディスプレイが導入され、メニューや設定がアイコン表示されるようになりました。画面によっては、アイコンの内容が文字で補足説明されている場合もあり、文字の表示内容は常時、更新されます。なお、画面の操作方法は、シンプルな押しボタン操作です。

パックスキャンP3マスターステーションは2Eの全機能を網羅しており、従来の設置現場にも完全に対応しています。P3では、非周期データ機能が加わったことにより、マスターステーションからフィールド制御ユニットのパラメータを設定することが可能となりました。また、ループ通信プロトコルの改善により、同じデバイスに複数のコマンドを一括送信することが可能となったため、バス通信のトラフィックが低減し、システムの応答性が向上しました。

 

新型のパックスキャンP3制御システムは、特に、石油、ガス、石油化学業界で非常に人気のある信頼性の高いロトルク製品であることが証明されており、リライアンス社との契約は、同製品の単一注文において、最も重要なうちの1つです。パックスキャンP3システム付きの電動アクチュエータやフルードパワーアクチュエータの注文割合が増加しています。


詳細情報

顧客名: Reliance Industries Limited(インド)

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