無線によるバルブ制御:タンクファームの自動化には申し分なし

テキサス州のコープスクリスティ港にあるMMLP社のタンクファームに設置したIQアクチュエータ。

テキサス州のコープスクリスティ港にあるMMLP社のタンクファームに設置したIQアクチュエータ。

概要

Martin Midstream Partners L.P. (MMLP)は、上場リミテッドパートナーシップで、石油製品やその派生品向けのターミナル設備や、貯蔵、加工、梱包サービスを主な事業としています。また、同社は、天然ガス液体の貯蔵、販売・供給サービス及び天然ガスの貯蔵、硫黄製品や硫黄を原材料とする製品の加工、製造、販売・供給、石油及びその副生物の海上輸送サービスなども行っています。

2011年、MMLPの事業部はテキサス州のコープスクリスティ港に単一製品専用のタンクファームの建設を開始しました。このタンクファームはトラックや船の荷役ターミナルの付近に建設され、容量100,000バレルのタンク6個及と4つのブースターポンプで構成されます。

経緯

MMLP社は、タンクファームの建設時に2次製品を処理するための設備をバージョンアップし、導入することを決定しましたが、これにはタンクを隔離して相互汚染を防止しなければなりませんでした。このため、MMLP社は、ロトルクの電動バルブ駆動システム(中央制御方式)を選定しました。ロトルクのシステムには、ターミナルの操作を完璧に保護する連動装置が組み込まれています。

ソリューション

ロトルク製品の現地販売店で、バルブ自動化のプロであるDMC-Carter Chambers社は、技術サービス業者であるTestengeer社と協力して、ロトルクのIQ防爆非貫通電動バルブアクチュエータの採用を打診し、今回のアプリケーションでの採用が決定しました。ロトルクのPakscan P3デジタルシステムはバルブ駆動や、危険区域の石油化学プラント及び保管エリアといった環境に特化して設計されており、監視や制御は、このPakscan P3デジタルシステムで簡単に行うことができます。

Rotork Pakscanは3代目となり、複数台のアクチュエータと長距離通信が可能な完全冗長2線式バスループによって信頼性の高い監視・制御を行うことができ、従来のハードワイヤード接続と比較しても劇的に設置・配線費用を削減できる場合に広く採用されています。

このプロジェクトでは、無線フィールドネットワーク式のPakscan P3を導入したことにより、お客様に更なる機能と経済性を体感して頂きました。無線式のPakscanでは、配線、ケーブルダクト、安全バリアの取り付けに係る費用や、ネットワークのケーブル配線に必要な機器に係る費用は発生しませんが、無線通信によりアクチュエータからより多くの情報を取得できるようになります。

本プロジェクトにおけるロトルク側のチーフエンジニアであるChris Dukeは以下のように述べています。

「お客様は、アクチュエータを制御するのに新たに多くのコンジットや配線を取り付けたくはなかったので、無線式のPakscanはこのお客様にぴったりのシステムだったのです」

Pakscan P3の仕組み

 2009年に初リリースされたPakscan P3無線ネットワーク制御システムはPakscanシステムの進化版であり、今日では世界中の数千にも及ぶプラントで使用されています。簡単に説明すると、このシステムは安全な無線メッシュネットワークを確立し、この無線メッシュネットワークによってプラント中のアクチュエータやその他のフィールド機器を制御し、ネットワークに繋がっているバルブアクチュエータからアセットマネジメントや予防メンテナンスに必要な動作データを取得するというものです。

無線システムは3つのメインハードウェアコンポーネントにより構成されています。

無線インターフェースモジュール付きのPakscan P3マスターステーション:業界標準のモドバス通信(シリアル接続またはイーサネット接続)により、プラントの制御システムに接続されています。

Pakscan P3無線モジュール(コーディネータータイプ):屋内・屋外どちらでも取り付けることが可能です。標準仕様の光ファイバーコンバーターを取り付けていれば、P3マスターステーションから最高200M離れた地点に取り付けることも可能です。システムのメッシュネットワークの基地のような役割をしています。

無線ネットワーク上の各アクチュエータに取り付けた無線アクチュエータモジュール

この無線システムは、ライセンスフリーで国際的認知度の高い2.4GHz ISM(Industrial Scientific and Medical)の無線周波数帯域で動作します。デバイス間の通信距離は、屋内の場合は約30M、屋外の場合は約100M程です。無線コーディネーターにより最高で60台まで、アクチュエータをメッシュ接続することができます。

Pakscan無線メッシュネットワークでは、ネットワーク上の各アクチュエータがそれぞれルータのような役割を果たし、信号が目的地に届くよう、サポートを行います。このネットワークは設計精度が高いため、設定を行えば、各アクチュエータと無線コーディネータ間の経路を2本以上提供することが可能です。そのため、通常のトラフィックルートが詰まっていたり、ハードウェアや通信に不具合が発生しても、ネットワークが別のデータ通信ルートを動的に決定するため、通信に支障を来すことはありません。このような自己修復ネットワークは、Pakscan2線式ループのループバック機能と同様の働きをしています。

このようなネットワークでは、プライバシーとセキュリティが非常に重要視されまっす。無線ネットワークを介して不正信号がデバイスに送信されるのを防止するため、全ての制御データは高度暗号化標準(AES)を用いて暗号化されています。これに加え、不正なデバイスがネットワークに侵入したり、メッセージが反射攻撃を受けるのを防止するため、システムも暗号化されています。

ユーザーは、Pakscan P3無線ネットワークカードを使用して、標準の制御・監視機能にアクセスしたり、IQアクチュエータのデータロガーや構成ファイルに保存された診断情報やアセットマネジメント情報に加え、有線のPakscanシステムから入手したデータにアクセスすることもできます。

なお、ネットワークカードを使用しない場合、アクチュエータのデータロガーや構成ファイルに保存された情報は現場でのみダウンロードすることができますが、この際、携帯式設定器を使用します。また、パソコンソフトを使用することで、このような構成ファイルは、制御ルームから無線ネットワークを経由して抽出することも可能です。

 

 

 

 

結果

MMLP社のプロジェクトでは、16台のIQ40非貫通インテリジェントアクチュエータと、1台のPakscan P3マスターステーション及び3台のネットワークリピータを設置しましたが、これらの機器は放射線危険区域における問題を克服し、ネットワークの冗長性を保証しています。

Chris Dukeは試運転・調整に関して以下のように語っています。

「アクチュエータの設置には、計画が必要なことが多々有りましたが、スタートアップが進むにつれて、このシステムがこれまで見てきた中で最も簡単なタイプの制御システムであることを実感しました。」

「無線システムの試運転・調整準備に関しては、予め納品前にロチェスターの工場でできる作業もあったし、現場では、私は、各アクチュエータに無線アンテナを取り付け、それぞれに独自のアドレスを割り当てました。この作業が終わってマスターステーションの電源を入れると、数分以内に全16台のアクチュエータがネットワーク上に並びました。」

「お客様は私達が行った作業や、全工程が非常に早く一段落ついたことに感動されました。」

 

今回のプロジェクトの成功に引き続き、この設備での建設作業の第2段階で建設される予定のさらに3つのタンクに関しても、同様の駆動・制御システムを構築しなければなりません。

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