ロトルクは貯蔵タンク拡張プロジェクトの“ワンストップ・アクチュエーションショップ“

Vopak社の段階8プラント

Vopak社の段階8プラント

Sector : 石油&ガス

カテゴリー : 電動アクチュエータ, フルードパワーアクチュエータ, 減速機&アクセサリ, 各種サービス

製品 : CVL, CVQ, Pro Generation SI, IS Motorised, Retrofit, IQ Pro Standard

概要

ロトルクは、オランダでの石油貯蔵タンク拡張プロジェクト向けにバルブ駆動製品とサービスを提供し、こうした製品やサービスのワンストップショップであることを証明しました。ロトルクが行った作業は、遮断弁やモジュレーティング用バルブ及びフェイルセーフバルブ向けのアクチュエータの提供、デジタル制御システムやバルブ用減速機、バルブ取り付け用品の提供、工場での電動化、現場でのレトロフィット及び試運転調整等です。
Royal Vopak社は、石油・化学産業向けにタンクターミナルを提供する世界最大規模の独立系企業です。Vopak社のユーロポートにある石油ターミナルの拡張計画によって、2012年までに、総貯蔵量は120万立方メートルまで増加する予定であり、ロッテルダム港における独立系貯蔵会社としての地位を強固なものにするでしょう。

拡張プロジェクトの段階8では、容量40,000立方メートルの燃料オイルタンク4台の新設と、マニホールド付きポンプピットの建設を行いますが、このマニホールドは、タンク同志を接続したり、タンクとそのターミナル内の他の部分を接続しています。これらに加えて、OCU (Odour Control Unit:臭気制御ユニット)の設置も行います。これは、環境の改善を目的として現場に設置され、これが4台目となります。

 

経緯

ロトルクは、Vopak社とバルブ駆動枠組み協定を締結しており、1500台以上のアクチュエータを提供してきましたが、その大部分がパックスキャン2線式デジタル制御システムを搭載しており、Vopak社の既存の現場に提供されてきました。拡張プロジェクトの段階8では、お客様が、同様の先進的なバルブ駆動技術を採用し、それを既存プラントの制御構造にシームレスに適合させることを希望されていました。また、お客様は、新たに機器を提供するだけでなく、一括契約に含まれている特殊サービスやサポートサービスを多々必要とされていました。

ソリューション

ロトルクは、以下の担当部門、製品、サービスの力を借りて、供給の範囲を調整し、プロジェクト段階8の技術的ニーズ及び物流上のニーズに対応することができました。

  • ロトルクコントロールズ:IQproインテリジェントバルブアクチュエータ、パックスキャン2線式デジタル制御システム
  • ロトルクフルードシステムズ:スキルマチックSI/EH電油式フェイルセーフバルブアクチュエータ
  • ロトルクプロセスコントロールズ:CVA電動調整弁用アクチュエータ
  • ロトルクギア:スパー減速機(ISレンジ)
  • ロトルクバルブキット:バルブ/アクチュエータ用取り付け具
  • ロトルクサイトサービス:工場でのバルブの電動化、現場でのバルブの電動化、レトロフィット、試運転調整

技術的に、既存設備のバルブ用途の大半に、パックスキャン2線式デジタル制御システム搭載IQproインテリジェント電動バルブアクチュエータを採用しました。そのため、段階8の殆どの新設バルブ(合計で111台のオンオフバルブ)が、IQproアクチュエータで電動化されました。この111台には、マニホールドに設置されたサイズ24インチまでのゲート弁や、OCU配線上のバタフライ弁も含まれます。

IQproは多機能で最大限の信頼性を追求した設計となっており、設定等の際にカバーの取り外し不要、本質的安全の試運転調整、データロギング及び予測保守が可能、といった特長を持っています。耐水保護等級IP68、防爆、ダブルシール構造の本体には大型で多機能のディスプレイがあり、そのディスプレイと携帯式の設定器を介してアクチュエータの設定、試運転調整、診断を行うことが可能です。このディスプレイはバックライト付きであり、ここには選択式の設定メニューや、プロンプト及び設定データ、現場及び遠隔からの制御の状態、バルブのトルクや開度の分布図等が表示されます。携帯式の設定器は、赤外線による双方向の通信が可能であり、主電源が接続されていなくても、現場で簡単に設定を行うことができます。

双方向通信により、データを取得したり、他のアクチュエータに送信することができますので、バルブにほぼ同一の試運転調整を行う場合においては、時間とコストの節約になります。さらに、アクチュエータのデータロガーファイルをダウンロードしてプラントからオフィスに転送し、保管したり、パソコンでIQ-Insightというソフトを起動して解析することもできます。また、パックスキャン・デジタルネットワークでも同様のことが可能であり、制御ルームの快適な環境でデータを取得することができます。取得したデータを基に効率的なアセットマネジメントを計画、実施することができ、プラントの実用性を最大化すると共に予期せぬプロセス中断のリスクを最小化します。

Vopak社のプロジェクトマネージャーであるCees Brijs氏は次のようにコメントしています。「我々は、弊社ターミナルでロトルクのアクチュエータを長期使用しており、品質の良さを実感しています。それに、問題が発生した際も、ロトルクのレスポンスは非常に早いです。」

近隣にロトルク・オランダのオフィスと、最近拡張を行った工場があるため、迅速に対応することができるのです。これらの拠点は、完成品として現場へ納入する前に、バルブを問題のない状態にしてロトルクに提供し、工場でアクチュエータを取り付け、動作試験を行う等、バルブを段階8プロジェクトに電動バルブを提供する際の支援を行いました。更に、現場でアクチュエータをバルブに取り付ける方が最善であると判断した際は、ロトルクサイトサービスの経験豊富なエンジニアがこの作業を行い、臨機応変に対応しました。

パックスキャン

段階8で新設した111台のIQproアクチュエータは、2台の新型パックスキャンマスターステーションに繋がっており、プラントの動作を制御するRockwell社製のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)と通信を行います。新型のマスターステーションは、プラントを制御している現行のパックスキャンマスターステーションのネットワークにぴったりと適合します。繰り返しになりますが、専門性の高いロトルクサイトサービスのエンジニアが現場に立ち会っていたことで、新型アクチュエータやパックスキャンネットワークの最終の試運転調整を手早く済ませることができ、プロジェクトの進行に良い影響をもたらしたのです。

パックスキャンは、バルブアクチュエータに特化して設計されたデジタル制御システムであり、他のモデルにはない、アクチュエータに焦点を当てた特長を持っています。例えば、最大240台のアクチュエータをフォールトトレラントなフィールドネットワークに組み込むことが可能、リピータがなくても最大20Kmの長距離通信が可能、といった特長は、貯蔵タンクファームのような広大な環境では、信頼性や経済性の観点から考慮に入れるべき事項です。というのも、リピータには、外付けの電源が必要であるため、データ送信の速度が低下し、部分故障が発生することがあります。そして、リピータの故障により、下流の現場ユニットとの通信が失われるからです。

また、パックスキャンは、標準で、二重のホスト通信が可能であり、現場の機器に故障が発生すると、ループ上の他ユニットとの通信を妨げることなく故障機器を遮断します。事実、パックスキャンのネットワークは、バルブから制御ルームに至るまで、全て冗長化されており、バルブの位置や状態及び状況等の非常に重要な情報を可能な限り安全に保っています。

アクチュエータの特殊用途

主には、ロトルクコントールズのIQproアクチュエータを使用してバルブ駆動を行いましたが、それに加えて、ロトルクの他部門が提供する機器を使用して実施した特殊アプリケーションもあります。例えば、ロトルクギア提供のステムエクステンション付きスパー減速機(ISレンジ)により、中2階歩道付近からダブルブロックアンドブリード弁を作動させることが可能になりました。

ロトルクフルードシステムズは、安全関連の用途向けに、スキルマチックSI/EHの電油式フェイルセーフアクチュエータを提供しました。これらの小型で丈夫なアクチュエータは、バルブを非常に正確に制御し、バルブを安全位置に移動させます。また、電源故障時または緊急遮断(ESD)時のフェイル位置を選択することもできます。スキルマチックSI/EHレンジは、IQproのインテリジェントな駆動技術を採用しているため、IQproと同様に、設定器を使用して、本体のカバーを取り外すことなく、シンプルで安全かつ迅速に試運転調整を実施することができます。画面上のメニューを選択するだけで内部油圧、バルブの開度、位置リミット、制御、アラーム、表示機能等の設定にアクセスしたり、変更することもできます。アクチュエータの状態や、制御及びアラームのアイコンは、バックライト付きのLCDディスプレイに表示され、このディスプレイからリアルタイムの情報やヘルプ画面、診断情報にアクセスすることもできます。スキルマチックは、標準でSIL3までのセーフティクリティカルな用途に使用することができ、ESD用途において特に重要な部分ストロークテストを実施することもできます。

調整弁のレトロフィット

プロジェクトの最中に、貯蔵タンクに熱を供給するボイラー室に設置した調整弁の何台かに問題が検出されました。6インチのバルブはリニア式電動アクチュエータを搭載していましたが、このアクチュエータが全差圧で完全にバルブを閉じることができなかったのです。さらに、アクチュエータは、この産業においては一般的ではない0 -10Vの制御信号により作動していたのですが、バルブメーカーが試運転調整を行えないため、メーカのエンジニアが駆けつけて作業を行わなければなりませんでした。その他に生じた問題としては、リミットスイッチが本体の外側に取り付けられていたため損傷に弱く、また、本体は窒素ガスを含んでいるため保守が難しい状態でしたし、接続箱も強度不足という判断でした。

この状況はロトルクプロセスコントロールズにとって、CVAレンジの革新的な調整弁用アクチュエータを提供する機会となり、この機会にVopak社から同製品の大量注文を頂きました。CVA電動アクチュエータは、実測0.1%以下の分解能と高い再現性でバルブの動作を正確に制御します。

.制御や操作が完全に電動であるという利便性に加え、CVAはロトルクの非貫通通信の技術を採用しているため、アクチュエータのセットアップを迅速かつ簡単に済ませることができ、また、校正や調整も自動的に行うことができます。さらに、CVAには、様々な性能データのロギングが可能、ダブルシール構造の防爆かつIP68の耐水型本体、インテグラル型のスーパーキャパシタによるフェイルセーフ動作の設定が可能、といった特長があります。CVAのデータロガーは、バルブのトルク分布図やイベント、及び統計データ等の動作データを保存することができ、これらのデータをダウンロードして詳細に解析することも可能です(解析には、ロトルクEnlightというパソコン用ソフトウェアを使用します)。潜在的な問題を予期することにより、プラントの稼動に支障を来すことなく、予防保守を計画することができるのです。

CVLリニア式アクチュエータ4台を受注し、ロトルクサイトサービスのエンジニアがレトロフィットして既設の調整弁に取り付けしました。CVAアクチュエータとバルブ間の接続部品の設計及び加工はロトルクの責任で行うことになっており、ロトルクグループのバルブ用アクセサリ専門メーカーであるロトルクバルブキットがこれを行いました。

結果

客様は、今回のプラント拡張プロジェクトにおいて、バルブ駆動や制御をロトルクに一任されたため、全体の契約プロセスがシンプルになりました。ロトルクの現地法人には、教育を受け、経験を積んだエンジニアが在籍しており、工場設備が充実していたため、ロトルクは、新たに機器を提供するだけでなく、工場の電動化、現場でのレトロフィット、設置及び試運転調整サービスを提供することができたのです。

既存プラントで既に確立されているのと同様のインテリジェントな駆動技術を用いることは、新設プラントを既存の制御プロトコルにシームレスに適合させることができる論理的なソリューションでした。この一環として、パックスキャン2線式デジタル制御システムを追加する際は、設置や、既存のパックスキャンネットワークへの組み込み費用を削減することができました。ロトルクグループの製品知識を駆使して、信頼性の低い調整弁用アクチュエータをCVAアクチュエータに交換する等の特殊な課題への解決策をアドバイスしたり、提供致しました。

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