水道産業におけるフロー制御のメリット

水道マガジン, 2022年3月


水道産業におけるフロー制御のメリット

水道産業において、フロー制御は、飲用水と廃水の2分野に関与しており、どちらも我々の生活には必要不可欠です。蛇口をひねると飲用水を入手できるサービス、そして、廃水や下水の管理サービスは、我々皆が依存している重要なサービスです。アクチュエータは、飲用水及び廃水アプリケーションにおける重要機器です。本記事では上記アプリケーションの要件及び課題に目を向け、フロー制御機器が如何にして世界中の水道施設の円滑な稼動と成功をもたらすのかを、具体的に説明致します。

フロー制御とは?

アクチュエータとはバルブを操作・作動させるための機器であり、フロー制御の要です。アクチュエータの制御方式は、電動式、油圧式、空気式の3種類です。効果的なフロー制御は、効率の向上と、水の供給量の増加に寄与します。水道産業では、多くの場合、設定位置間でバルブやダンパーを何度も往復させる必要があり、これら装置は濾過、脱塩、配水、ダム、貯水池、灌漑システム等の多種多様なアプリケーションで使用されています。このような作業にアクチュエータを用いることで、プロセスの効率化、無駄の最小化、エネルギー消費の削減が可能となります。

電動アクチュエータは、様々な水道産業で使用されており、高い繰り返し性と分解能で精密に制御します。動作の中断を防止し、信頼性を保証するため、水道アプリケーション用のフロー制御機器は、防水仕様でなければなりません。ロトルクのIQレンジアクチュエータは、自社工場にて密封されており、外部環境から保護されています。また、ダブルシール構造(IP66または68。水深7m下で72時間)であるため、内部は、水、湿気、汚れ、粉塵から保護されています。水道アプリケーションでは、過酷な環境であっても、最低限のメンテナンスで長期使用が可能な機器が必要となります。例えば、2021年には、ロトルクはニュージーランド国内の複数の水処理施設にIQ3アクチュエータを提供しました。これら施設では、かつては空気式アクチュエータを使用していましたが、高湿度の塩素雰囲気であることから、防水性の高い電動アクチュエータを必要としていました。新設のIQ3はフィルターの制御、薬液注入、飲用水の貯蔵といった場面で使用されています。また、これ以外にも、電動アクチュエータには、コンプレッサを用いて空気式アクチュエータに圧縮空気を供給する必要がない、というメリットもあります。

飲用水

飲用水を生成する方法は様々です。フロー制御は、引き込みから配水に至るまで、海水脱塩プラントや淡水処理プラントのほぼ全てのプロセス制御アプリケーションで用いられており、これらのアプリケーションでは、主に、濾過を行います。処理途中の水は、砂やアンスラサイト(無煙炭)等のろ材によって濾過されます。シンプルな低速サンドフィルターや急速重力式サンドフィルターなど、様々な種類のフィルターが用いられます。濾過プロセスでは、フロー制御は非常に重要です。バージョンアップの一環として、2020年に、米国の水濾過プラントに300台のIQアクチュエータが設置されました。このアクチュエータは、シカゴのEugene Sawye浄水場のバタフライ弁(12~30インチ)を操作して、同施設のサンドフィルターを通過する水の流量を正確に制御しています。

廃水処理

厳しい環境規制を遵守するため、廃水を処理して排水または再利用する場合には(灌漑システム等)、専用の設備や正確な制御が必要となります。アクチュエータによる自動化によって、効率的な廃水処理や環境保護が可能となります。処理後の水は、自治体の方針に従って、海またはその他の水源に戻されることがほとんどであり、フロー制御はこのプロセスの中核を担います。2020年、ロトルクは、トルコでのErgene Basin Deep Marine Discharge Project(ヨーロッパで最長級の海洋放出管)にて水の流量を制御するため、CK電動アクチュエータを提供しました。なお、この電動アクチュエータは処理プラントのペンストックを操作しています。この場面で使用されるアクチュエータは、高温且つ過酷な環境でも正確に作動しなければなりません。

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