バッテリーからの電源供給

タンク&ターミナル, 2023年6月


バッテリーからの電源供給

Anthony Vangasseは、電動バルブアクチュエータにおける最新のバッテリー技術の向上がどのように現場の最適な稼働水準の維持に役立っているのかについて調査しています。

現場の生産性、利益、効率を上げるためには、電源喪失時でも、現場内で稼働する資産の可用性を維持する必要があります。

多くの場合、フロー制御資産はプラント設備の主要部分であり、安全な稼働に必要不可欠な役割を果たしています。突然のダウンタイムは高額な出費や中断をもたらし、生産量、品質、企業の評判に影響を与えることがあります。

バッテリー技術は、オペレータ及びメーカーの全員が直面する主要問題に対するソリューション、即ち、中央電源の喪失時でもプラントにおける生産の中断を確実に防止する手段となり得るものです。この技術は、最高効率での稼動と生産性の最大化に貢献しています。

アクチュエータの遮断電池技術の重要性

 バルブ駆動におけるバッテリー技術の価値は相当なものです。遮断電池は、主電源喪失時でも、自動的に電力供給を継続し、バルブをトラベル終端の安全位置(現場で設定可能)まで作動させるため、石油&ガスアプリケーションの重要バルブのフェイルセーフ動作に活用されています。

緊急遮断(ESD)や部分ストロークテスト(PST)を必要とするバルブ、信頼性の低い電源に依存するプラント、遠隔の太陽光発電式現場、ウェルヘッド、切換弁や、遠隔プロセスガス式空圧アクチュエータからの切替が必要な現場等がその一例です。

電源の問題による突発的なダウンタイムは、深刻な影響を及ぼすことがあります。一般的に、電源喪失が発生すると、プロセスは(安全を保証し、製品の損失を防止するため)速やかに指定のフェイルセーフ動作に切り替わりますが、しばしば、電源断でもできる限り長く作動することが求められます。

安全は考慮すべき主要要素です。アクチュエータの作動途中に電源が喪失した場合、製品のフローを継続することが危険となり得るかも知れません。フォロー制御技術がソリューションを提供し、必要に応じて、フェイルセーフ動作を実行させる必要があります。

現場のアップタイムは必要不可欠であり、バッテリー技術によって過酷環境における電源の問題を克服することが可能です。リチウムイオン電池がアクチュエータ内部からバックアップ電源を供給し(そのため、非侵入型、危険場所認証、防水・防塵等級IP68等のメリットは維持されます)。

リチウムイオン電池は、小型、軽量、効率的且つ信頼性が高く、使用寿命は最長20年です。この電池はアクチュエータの主電源から自動的に充電するため、 時間の節約と効率の向上に繋がります。リチウムイオン電池は充電時に、通常の動作に影響を及ぼすことはなく、また、電池の健康状態は、現場・遠隔の両面から監視することが可能です。

 バルブを制御するアクチュエータは、電源断状態で動作を継続させることも、安全に作動停止させることも可能です。 ロトルクのIQTインテリジェント電動90度回転用遮断電池は、防爆アプリケーションにて、フェイルセーフ動作を実行させます。必要に応じて、フェイルセーフ動作は、先進的なセットアップメニューから、容易に設定することが可能です。 フェイルセーフ動作は、プロセスの安全稼働のための要件に合わせて、フェイルクローズ、フェイルオープン、現在位置保持、中間位置(開度_%)から選択することが可能です。 即ち、プロセスの終了を知ることができ、且つ、確実であるため、潜在的な安全問題や、プロセスの制御喪失に起因する金銭的損失を回避することが可能です。遮断電池があれば、コンプレッサ等の予備バックアップシステムがなくても、本フェイルセーフ機能を実行することが可能です。

遮断電池の上記以外の重要機能は、主電源喪失時に電力を供給する無停電電源装置(UPS)モードです。遮断電池のUPSによって、電池の残量がなくなるまでアクチュエータの使用を継続することが可能なため、電源断時や一時停止時でも操作や制御の延長が可能です。通常アクチュエータの動作は電源が復旧すると、自動的に復旧しますが、電池の残量がなくなるまでアクチュエータを作動させ続けることも可能です。これによって、損益やフロー制御資産の稼働の中断を減らしています。

現場オペレータは、危険場所や防爆区域での使用に適した遮断電池を必要としています。スプリングリターンや油圧式アクチュエータ等の他のソリューションにはいくつかの機能(バルブの開閉や、そのための高速フェイルセーフ動作など)がありますが、これらアクチュエータは大型で重量も大きくなります。

スプリング式フェイルセーフアクチュエータと比較したときの電池技術のメリット


The traditional method of storing energy for an actuator is through a spring. The mechanical nature of springs means that to generate sufficient torque, it has to be 2.5 to 3 times the size needed for the valve.従来は、スプリング(ばね)によって、アクチュエータのエネルギーを蓄えていました。スプリングの機械的性質により、十分なトルクを生成するには、バルブに必要なサイズの2.5~3倍のサイズのスプリングが必要となります。

The advantage of battery technology within an electric actuator is the energy required to compress the spring is not needed; therefore, it requires the size, torque and, ultimately, weight of the complete system.電動アクチュエータにおける電池技術のメリットは、スプリングの圧縮のためのエネルギーが不要なことです。そのため、サイズ、トルク、そして最終的にはシステム全体の重量が要求されます。

また、スプリングは、最大5~10Wの電力を無駄にしていることもあります。効果を上げるには、スプリングを圧縮し、状況によっては強力な電磁石で動きを押さえる必要がありますが、これには、絶えずエネルギーを消費し、潜在的な電源の故障に備えてスタンバイ状態を維持する必要があります。また、日々の操作でアクチュエータがスプリングに圧縮を加えるため、深刻な摩耗を引き起こすこともあります。

電池によるフェイルセーフ動作のもう1つの重要なメリットは、制御です。スプリングでは速度やトルクを制御することはできませんが、遮断電池(フェイルセーフ動作用電池)の場合は、操作者のそれぞれのニーズに合わせて、フェイルセーフ動作を設定することが可能です。

調整可能な優れた電池技術は、スプリング式ユニットに比べて遥かに柔軟です。遮断電池の場合、ユーザーのニーズに合わせて設定し、制御ロジックを与えることができるのに対し、スプリングの場合は、開・閉のいずれか1つの動作しか実行することができません。

1度のみの高速フェイルセーフ閉動作しか必要としない場合は、スプリングが適切です。しかし、電池の場合は、より細かい制御が可能であり、エンドユーザーがより柔軟に操作し、それぞれのニーズに合わせて調整することが可能です。

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