LNGにおけるバルブアクチュエータの重要性

バルブワールド, 2023年5月


LNGにおけるバルブアクチュエータの重要性

液化天然ガス(LNG)は、世界的なエネルギーミックスにおいて、益々重要な部分となりました。LNGの輸出は直近の数十年間で急増し、2022年には、米国単独でも欧州への輸出量が2倍に増加しました。

2020年代末にかけて、天然ガスの需要が11%増加すると予想されています。天然ガスの需要増加とLNGの関連性の高まりによって、2030年までに液化容量は2倍に、再ガス化容量は50%増加すると予想されています。

LNGを使用するには、液体から気体への再ガス化が必要であり、世界の大部分で必要量を収容できるインフラが不足しています。今後8年間のLNGの液化、再ガス化、輸送インフラへの投資見込みは、エネルギー転換における炭化水素排出削減の架け橋としてのLNGの利用用途を具体的に示しています。

インフラの拡大によって、液化から、抽出、再ガス化、輸送、供給までのあらゆる工程で、効率的なフロー制御が要求されるようになり、アクチュエータによるプロセスの確実な制御が必要となりました。

LNGにおける効率的なフロー制御

世界中の場所を問わず、LNGの抽出、処理、輸送は、安全且つ確実な方法で行わなければなりません。フロー制御は、ガスの抽出、液化、輸送 (パイプライン・LNGタンカーを問わず)、天然ガスへの再ガス化、供給、その後の輸送など、全ての段階で重要な役割を果たしています。

LNGの保管及び輸送には、特別な要件があります。ガスを液化するには-162℃の極低温で冷却する必要があるため、極低温で使用可能なバルブ及び関連機器を使用する必要があります。

危険な環境であるため、LNGの流量制御弁は、極低温下での確実な動作に適したものでなければなりません。例えば、極低温安全弁は316ステンレス鋼を主要原材料としており、これによって極低温でも本体の強度を維持しています。 また、これらバルブはBS 6364等の安全基準を満たしている必要があります。アクチュエータ等、バルブ制御用フロー制御装置は、危険が持続する環境でも、安全且つ信頼性の高い動作を提供しなければなりません。

プラントにはLNG産業の重要用途に適した製品、即ち、安全と、プラント連続稼動時間の最大化、そして作動効率を保証する製品が必要です。 インテリジェントな設計且つ保守の行き届いたフロー制御システムは、産業の効率化や増益だけに留まらず、環境基準の遵守と安全確保も実現します。

極低温バルブの制御

生ガスをパイプラインで移送する場合、一般的にバルブの直径は36~72インチであり、また、生ガスは、LNG液化設備に必要なおびただしい量を移送するため、超高圧で送り出されます。天然ガスを液化する場合、圧縮トレインや極低温システムを利用してガスの加圧・冷却等を行い、液状にします。

この工程では依然として、高圧ガスは非常に危険な媒体であり、緊急遮断に係る安全機構が非常に重要となります。この重要性から、LNG事業者は信頼性の高いソリューションに重点を置く必要がありますが、これは、1960年代に最初のLNG設備が設置されて以来、ロトルクが本業界に提供してきたものです。 ロトルクの空圧式アクチュエータによって、大型バルブを、緊急遮断システムに必要な高速且つ高トルクで閉止することが可能となりました。

ロトルクの空圧式スコッチヨークアクチュエータGP及びCPは、世界中のLNGターミナルで使用されており、貯蔵・再ガス化プラントの極低温ボール弁とバタフライ弁を操作しています。両アクチュエータとも、IP 66Mまたは67M認証を取得しており、危険環境に適した耐食シリンダーを搭載しています。

LNGサプライチェーンと並び、フロー制御製品にもまた高基準の安全認証が必要です。安全度水準 (SIL)は、安全システムの性能要件を示すための確立された基準システムです。SILとは、操作者の安全に寄与する技巧、技術、基準、手順等を含めた機能安全計画の一部分です。 効果的な安全システムにするには、危険なプロセスを扱う産業に、ライフサイクルアプローチを取り入れる必要があります。GP及びCPレンジはどちらも、IEC 61508に従い、SIL3での単独使用に関して適合認証を取得しているため、危険物質の処理における有効性が示されています。

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